
こんにちは。療育支援者の学校 主宰の西村猛(理学療法士・児発管)です。
療育・発達支援の仕事をしていると、「評価が大切」「アセスメントが重要」という言葉を聞く機会は多いと思います。
私自身も、療育は「評価に始まり、評価に終わる」と考えています。
では、子どもを評価する力、いわゆる「見立てる力」は、どうすれば高めていくことができるのでしょうか。
大切なのは、日々の支援の中で「なぜ、この子にこの困りごとが起きているのだろう?」と考え、仮説を立て、それを確かめながら支援することです。
今回は、療育支援者の学校のYouTubeでもお話ししている「仮説と検証」という考え方について整理します。
療育は「評価に始まり、評価に終わる」
療育では、運動遊び、制作、手先を使った遊び、ことばの課題など、さまざまな活動を行います。
しかし、活動をたくさん知っていることと、良い支援ができることは同じではありません。
たとえば、「姿勢が崩れるから体幹を鍛えよう」「手先が不器用だから指先を使う遊びをしよう」と、困りごとからすぐに活動を決めてしまうことがあります。
その前に考えたいのが、「なぜ、この子にこの困りごとが起きているのか」ということです。
子どもの姿から背景を考え、その見立てをもとに支援する。そして、支援した結果を再び評価する。
だからこそ、療育は「評価に始まり、評価に終わる」のです。
評価は「仮説」から始まる
評価というと、子どもの困りごとの原因を正確に見つけなければならないように感じるかもしれません。
しかし、最初から正解が分かるわけではありません。
まずは、「もしかすると、こういうことが関係しているのではないか」と仮説を立てます。
そして、その仮説を裏づける子どもの姿が本当にあるのかを観察していきます。
重要なのは、「私はこう思う」で終わらせないことです。「なぜそう考えたのか」を、子どもの行動や日常の様子をもとに説明できるようにします。
つまり、仮説を立てる → 検証する → 支援する → 再評価する → 必要なら仮説を修正する、この循環を繰り返していくことが、評価の基本になります。
「椅子にまっすぐ座れない子」で考えてみる
YouTubeの動画では、「椅子にまっすぐ座り続けることが難しい子ども」を例にしています。
たとえば、「身体を支え続ける持久力が弱く、同じ姿勢を保つことが負担なのではないか」と仮説を立てたとします。
すると、椅子に座っているときだけではなく、「床ではすぐ寝転がらないか」「外遊びの途中でしゃがんで休んでいないか」「少し休むと再び活動できるか」など、他の場面での姿も観察します。
そこで仮説を支持するような姿が複数見られれば、その見立てをもとに支援を考えます。
たとえば、手押し車や雑巾がけなど、身体を支え続ける力を使う遊びを取り入れ、その後に座っていられる時間や姿勢の崩れ方がどう変化したかを確認します。
ここまでが「評価→支援→再評価」の一つの流れです。
変わらなかったことも評価材料になる
支援したのに、子どもの姿があまり変わらないこともあります。しかし、それを単純に「支援に失敗した」と考える必要はありません。
「最初の仮説が違っていたのではないか」「支援方法や頻度は適切だったか」「別の要因の影響が大きいのではないか」と考え直す材料になります。
先ほどの例なら、姿勢を保持する力だけではなく、視覚的な刺激への反応、課題への注意、環境などが関係している可能性もあります。
仮説が違っていたら、新しい仮説を立てればいいのです。
評価スキルは、この繰り返しで高まっていく
評価が上手な支援者とは、最初からすべてを見抜ける人ではありません。
「なぜ、この子はこうするのだろう?」
「こういうことが関係しているのでは?」
「そう考える根拠は何だろう?」
「支援した結果、どう変わっただろう?」
こうした思考を繰り返せる人です。
この積み重ねによって、子どもを見るポイントが増え、仮説の精度も少しずつ高まっていきます。
療育では「何をするか」に目が向きがちですが、その前に「なぜ、この子にそれをするのか」を考えることが大切です。
見立てがあり、その見立てを支える根拠があり、支援がある。
そして、その結果をもう一度評価する。
この繰り返しが、一人ひとりに合わせた支援につながっていきます。
動画でも解説しています
今回の「仮説と検証」については、療育支援者の学校のYouTubeでも具体例を交えて解説しています。
記事とあわせて、ぜひご覧ください。
【療育支援者向け】子どもの評価スキルを「爆上げ」するコツ!ポイントは「仮説」と「検証」

