
こんにちは。主宰の西村猛です。
2026年9月5日21時から、「保護者支援」をテーマにYouTubeライブを開催しました。
今回は、事前にいただいたご質問や当日のコメントをもとに、保護者との関わり方や伝え方、支援者としての距離感などについて、約1時間30分にわたってお話ししました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
保護者支援には、「こうすれば正解」という一つの答えがあるわけではありません。
だからこそ、支援者として何を大切にするのか、どこまでを自分たちの役割と考えるのかを整理しておくことが重要だと思っています。
今回は、ライブでお話しした内容の中から、主なテーマを振り返ってみたいと思います。
「保護者に寄り添う」とはどういうことか
ライブの中で大きなテーマになったのが、「保護者に寄り添うとは、どういうことなのか」という話です。
保護者支援というと、「保護者の気持ちを受け止める」「保護者に寄り添う」といった言葉がよく使われます。
ただ、寄り添うことと、保護者の考えや要望に何でも同意することは同じではありません。
支援者には、専門職として子どもの姿を見て、評価し、考える役割があります。
一方で、専門職だからといって支援者の考えを一方的に保護者へ伝えるだけでも、良い保護者支援にはなりません。
支援者と保護者のどちらかが上になるのではなく、「この子にとって、どうすることがよいのだろう」ということを、それぞれの立場から一緒に考えていく。
そうした対等な関係をつくることが、保護者支援では大切なのではないかというお話をしました。
ラポール形成は「好かれること」が目的ではない
子どもとのラポール形成についても取り上げました。
子どもが支援者を好きになってくれることや、「この先生と一緒なら安心できる」と感じられることは大切です。
ただし、「先生を好きになってもらうこと」そのものが療育の目的ではありません。
安心できる関係があるからこそ、新しいことに挑戦したり、うまくいかない経験をしたりすることができます。
支援者との関係の中だけでできるようになるのではなく、最終的には家庭や園、学校などの日常生活の中でも、その力を発揮できるようになることを考えていく必要があります。
ラポール形成はゴールではなく、その先の挑戦や自立につなげていくための土台として考えることが重要です。
支援者がすべてを抱え込まないことも大切
保護者自身が精神的な不調を抱えている場合に、支援者はどこまで関わるべきなのか、というご質問についてもお話ししました。
保護者の困りごとを知ることや、その気持ちを受け止めることは大切です。
一方で、療育支援者がすべての問題を解決できるわけではありません。
特に、自分たちの専門領域を超える問題については、「自分たちで何とかしなければ」と抱え込むのではなく、必要に応じて適切な専門機関や地域の支援機関につないでいくことも支援の一つです。
何でも引き受けることが「寄り添うこと」ではありません。
支援者自身の専門性と役割を理解し、必要なところにつなぐという線引きも、保護者支援には必要です。
「印象」ではなく「事実」を記録する
他機関との連携にも関連して、支援記録についても触れました。
例えば、「今日は落ち着きがなかった」と記録するだけでは、それを書いた支援者の主観が含まれています。
それよりも、「30分間の活動中に5回席を立った」など、実際に観察された事実を記録しておく。
こうした客観的な情報があることで、その後の評価や支援方針を考えやすくなり、他の専門職や関係機関とも情報を共有しやすくなります。
ライブでは、SOAP記録法の考え方についても触れながら、支援者の「印象」と実際に起きた「事実」を分けて考えることの重要性についてお話ししました。
外国籍の保護者とのコミュニケーション
外国籍の保護者とのコミュニケーションについてのご質問もいただきました。
言語が異なる場合には、単純に日本語を翻訳すればよいとは限りません。
支援者が伝えた内容を家族や親族など第三者が通訳する場合には、伝える人の解釈が加わる可能性もあります。
また、「ふわっと」「グッと」「こんな感じ」といった日本語特有の曖昧な表現も、相手には伝わりにくいことがあります。
相手の文化的背景も異なることを前提にして、できるだけ具体的で分かりやすい言葉に置き換えて伝える。
これは外国籍の保護者に限らず、保護者支援全般に必要な視点でもあります。
良い保護者支援とは何だろう
今回のライブを通して繰り返し出てきたのは、保護者支援には簡単な正解がないということでした。
保護者の言うことを何でも受け入れることでもなければ、専門家として正解を教えることでもありません。
支援者には支援者の専門性があり、保護者には日々子どもと生活しているからこそ分かることがあります。
それぞれが持っている情報や考えを出しながら、「この子にとって何が一番よいのか」を一緒に考えていく。
そして、すぐに答えが出ないことであっても、一緒に考え続ける。
その姿勢そのものが、保護者との信頼関係をつくっていくのではないかと思います。
ライブのアーカイブをご覧いただけます
今回の記事では、ライブでお話しした内容の一部を抜粋してご紹介しました。
実際のライブでは、皆さんからいただいたご質問をもとに、具体的なケースも交えながらお話ししています。
1時間半を超えるライブですが、視聴者の皆様のコメントもご紹介しながら進めていますので、お時間のあるときにライブアーカイブ動画をご覧いただけると嬉しいです。
▼「療育現場の保護者支援 Q&Aライブ」アーカイブ
療育支援者の学校では、これからも日々の支援で感じる疑問や悩みを取り上げながら、「なぜ、この支援をするのか」を一緒に考えていきたいと思います。

