令和8年度報酬改定、児発・放デイは何が変わった?児発管向けにやさしく解説

こんにちは。療育支援者の学校 主宰の西村猛です。

児童発達支援や放課後等デイサービスで働いていると、ときどき耳にする「報酬改定」という言葉。

「何か変わったらしいけれど、よく分からない」

「資料を見てみたけれど、難しくて途中で読むのをやめた」

そんな方も少なくないのではないでしょうか。


特に児発管は、個別支援計画の作成やモニタリング、保護者対応、スタッフとの連携など、日々たくさんの業務があります。

制度改正の資料を一つひとつ読み込むのは、なかなか大変です。


そこで今回は、令和8年度の障害福祉サービス等報酬改定について、児童発達支援・放課後等デイサービスの児発管さんがまず知っておきたいところを中心に、できるだけやさしく整理します。


細かな単位数を覚えることよりも「何が変わったのか」「なぜ変わったのか」「児発管として何を知っておけばいいのか」この3つを理解することを目標にしてみましょう。

そもそも「報酬改定」って何?

まずは、「報酬改定」そのものから簡単に説明しておきます。

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、事業所が自由にサービスの料金を決めているわけではありません。

どのような支援を提供したときに、どのくらいの報酬を算定できるのか。その基本的な仕組みやルールが国によって決められています。


そして、その報酬の仕組みや金額、加算などを見直すのが「報酬改定」です。

「報酬」と聞くと、「経営者や管理者が知っておけばいい話では?」と思うかもしれません。

もちろん、児発管がすべての単位数や加算率を覚える必要はありません。


ただ、制度が変われば、事業所の運営やスタッフの配置、働き方、そして支援体制にも関係してきます。

そのため児発管も、大きな変更とその方向性については知っておくとよいでしょう。

令和8年度に報酬改定が行われました

障害福祉サービス等の報酬については、令和6年度に大きな改定が行われました。

そのため、「次は令和9年度では?」と思っていた方もいるかもしれません。

実際には、令和8年度にも臨時の報酬改定が行われています。


ただし、ここで一つ押さえておきたいことがあります。

今回の令和8年度改定は、令和6年度改定と少し性格が違います。

令和6年度改定とは何が違うの?

児発管さんにとっては、令和6年度改定と令和8年度改定の違いを整理しておくと分かりやすいと思います。

令和6年度改定では、児童発達支援や放課後等デイサービスについて、大きな見直しが行われました。

たとえば、5領域を踏まえた総合的な支援、支援プログラムの作成・公表、支援時間に応じた基本報酬、専門的支援実施加算などです。

個別支援計画や日々の支援にも関係する内容が多かったため、児発管さんにとっても対応することの多い改定でした。


一方、令和8年度改定は少し性格が違います。

令和6年度改定のように、児発管の日々の支援実務が大きく変わる改定ではありません。

児発・放デイに関係する主な変更としては、福祉・介護職員等処遇改善加算の拡充に加えて、令和8年6月1日以降に新規指定を受ける一部の事業所に「応急的な報酬単価」が導入されたことが挙げられます。

特に後者は、現在すでに運営している児発・放デイの基本報酬を一律に引き下げるものではありません。

原則として、新たに指定を受ける事業所を対象とした臨時的な措置です。


そのため、令和8年度改定について、「5領域がまた変わったの?」「個別支援計画の書き方が変わったの?」と心配する必要はありません。

今回の改定では、児発管の支援実務に新しいルールがたくさん追加されたわけではないということを、まず押さえておきましょう。


そのうえで注目しておきたいのが、なぜ今回、児発・放デイの新規事業所について報酬の見直しが行われたのかという点です。

ここには、これからの児発・放デイを考えるうえで重要な背景があります。

なぜ、新規事業所の報酬が見直されたの?

では、なぜこのような仕組みが導入されたのでしょうか。

国の資料では、今回対象となったサービスについて、収支差率が一定以上あり、事業所数が継続して増加していることなどが示されています。

児童発達支援や放課後等デイサービスも、その対象になりました。


一方で、障害福祉サービス全体の費用は増加しており、現場では人材確保も大きな課題になっています。

そこで、サービスの質を確保しながら、制度そのものを持続可能なものにしていくという観点から、一部サービスの新規事業所について臨時的な基本報酬の見直しが行われました。


ここは、「児発や放デイが増えすぎたから、報酬を下げた」と単純に捉えない方がよいでしょう。

事業所が増えることで、これまで支援を受けにくかった地域にサービスが届くという面もあります。


一方で、事業所数や給付費が増えていく中で、必要な支援を確保することと、制度を持続可能なものにすることの両方を考える必要があります。

今回の改定は、そうした課題への対応の一つと考えると分かりやすいと思います。

新しくできた事業所なら、すべて報酬が下がるの?

ここも注意が必要です。

令和8年6月1日以降に新規指定された児発・放デイが原則として対象ですが、すべてのケースで応急的な報酬単価が適用されるわけではありません。

たとえば、重度の障害がある子どもへの支援や、サービスが不足している地域などについては、一定の配慮措置が設けられています。

また、合併や分割、事業譲渡などによって新たに指定を受ける場合でも、実質的に事業所が継続していると認められるケースについては、既存事業所と同様に扱われる場合があります。


つまり、「令和8年6月以降に指定された=必ず基本報酬が下がる」というわけでもありません。

自分の事業所が対象になるかどうかについては、こども家庭庁の通知やQ&A、指定権者からの案内を確認してみましょう。

では、児発管は何を確認しておけばいい?

ここまで制度について説明してきましたが、児発管として大切なのは、制度を丸暗記することではありません。

今回の改定については、まず次のようなことを確認しておけばよいでしょう。

① 自分の事業所に今回の改定がどう関係しているのか

既存事業所なのか、新規指定の事業所なのかによっても影響は異なります。

まずは、「今回の改定で自分の事業所に何か変更があるのか」を管理者などと確認してみましょう。

② 処遇改善について自分の事業所がどう対応しているのか

処遇改善加算はスタッフの働き方にも関係する制度です。

細かな計算方法まで知らなくても、自分の事業所がどのような対応をしているのかは確認しておいてよいと思います。

③ 制度改定について管理者やスタッフと共有できているか

制度の話を経営者や管理者だけが知っていて、現場スタッフには何も伝わっていない事業所もあります。

逆に、制度の細かな情報だけが現場に降りてきて、「結局、支援では何をすればいいの?」となることもあります。


児発管には、制度と実際の支援をつなぐ役割もあります。

必要な変更については、スタッフにも分かる言葉で共有していくことが大切です。

④ 情報源を確認しておく

制度改定については、SNSや人づての情報だけで判断しないことも大切です。

こども家庭庁や厚生労働省、指定権者などが出している一次情報を確認する習慣をつけておきましょう。

分からない場合は、事業所内だけで判断せず、指定権者などに確認することも必要です。

「制度」と「支援」は別々のものではありません

制度の話になると、「私は支援職だから、報酬のことは経営者に任せておけばいい」と思う方もいるかもしれません。

もちろん、経営に関する細かな数字まで、すべての支援者が把握する必要はありません。


でも、制度と支援は完全に別々のものでもありません。

人材を確保できるか。どのような職員を配置できるか。スタッフが学び続けられる環境をつくれるか。必要な子どもに、必要な支援を提供し続けられるか。

こうしたことには、事業所の運営や制度が少なからず関係しています。


今回の令和8年度改定でも、一方ではスタッフの処遇改善を進め、もう一方では一部の新規事業所について基本報酬を見直すという動きがありました。

その背景には、人材を確保しながら、支援の質を確保し、制度を持続させていくという課題があります。

児発管も、制度の詳細よりも、こうした大きな流れを理解しておくことが大切です。

令和9年度にも報酬改定があります

そして今回の令和8年度改定だけで終わりではありません。

新規事業所に導入された応急的な報酬単価は、令和9年度の報酬改定までの臨時・応急的な対応とされています。

そのため、令和9年度に向けて、児童発達支援や放課後等デイサービスの報酬体系がどのように整理されるのかは、今後も確認していく必要があります。


ただし、まだ決まっていないことを予測だけで考える必要はありません。

制度について大切なのは、「決まったこと」と「まだ検討中のこと」を分けて考えること、です。

まずは今回確定した令和8年度改定について理解し、そのうえで令和9年度に向けて新しい情報が出たときに確認していけばよいでしょう。

まとめ

令和8年度の報酬改定について、児発・放デイの児発管さんがまず押さえておきたいポイントは、大きく2つです。

一つは、福祉・介護職員等処遇改善加算が拡充されたこと。

もう一つは、令和8年6月1日以降に新規指定された一部の児発・放デイについて、応急的な報酬単価が導入されたことです。


今回の改定は、令和6年度改定のように、5領域や支援プログラムなど、日々の支援業務に直接関係する大きな仕組みが新たに変わったものではありません。

そのため、児発管が細かな単位数や制度のすべてを覚える必要はありません。

まずは、「何が変わったのか」「自分の事業所にどう関係するのか」を押さえておけばよいと思います。


ただ、もう少し長い目で制度の流れを見ると、これからの児童発達支援・放課後等デイサービスでは、これまで以上に「支援の質」が重要になっていくと考えられます。


令和9年度の報酬改定で具体的に何が変わるのかは、現時点ではまだ決まっていません。

だからこそ、制度が決まってから慌てて対応するのではなく、今のうちから支援の質を高める準備をしておくことが大切です。

制度改正への一番の準備は、新しい制度を予測することではなく、今の支援の質を高めておくこと。

療育支援者の学校でも、制度改正の情報だけではなく、評価や見立て、個別支援計画、モニタリングなど、支援の質を高めるために必要な考え方を、これから一つずつ分かりやすくお伝えしていきたいと思います。